Q18盗品の購入
(質問内容)
Aさんは,陶芸品店である擦過の花瓶を見つけました。小さな物でしたが,90万円で購入することができました。
ところが,警察から連絡があり,その花瓶は一年ほど前に盗まれた物であることがわかりました。
警察では花瓶を被害者に返したので,被害者と話し合うように言ってきました。しかし,被害者と交渉したのですが,被害者は金を払ってくれません。
そこでAさんは花瓶を買った陶芸品店に行って,払った金を返してもらいたいと言ったのですが,やはり断られてしまいました。
盗品を買ってしまった場合,買った人がすべての被害を引き受けなければならないのでしょうか。
(回答内容)
本件においては,花瓶の真の権利者と購入者であるAさんのいずれを保護すべきかが問題となっています。この問題はいわゆる即時取得という制度の問題です。即時取得とは,他人の動産を有効な取引により取得した取得者において,前主がその動産について無権利者でないと誤信し(善意),かつ,そう信じるにつき過失がない(無過失)取得者の動産取引の安全を保護する制度です。Aさんとしては,前主である陶芸品店が本件花瓶を占有していたことを立証すれば,善意・無過失の要件はいずれも推定されることになりますので,即時取得制度が適用されます。
もっとも,盗難被害者にとってみれば,被害者の意思によらないでその占有を離れることになりますので自分に落ち度はないのですから,盗品被害者を保護する必要があります。そこで,即時取得の例外として,民法上,取得した動産が盗品である場合,被害者は,盗難の時から2年間は,当該目的物を返還するよう請求できるとの定めがあります。本件では,花瓶が盗まれたのは1年ほど前ですから,この規定により被害者が保護されることになりそうです。
とはいえ,陶芸品店という公の市場で購入したAさんにとってみればまさか盗品だと思わず購入したのでしょうから,このようなAさんの信頼を保護する必要があります。そこで,民法上,更なる例外として,公の市場(一般の店舗を意味します)で購入した場合には,被害者が購入代価を弁償しなければその物を回復することができないとの定めがあります。この規定の解釈として,判例上,取得者が,被害者に対して,当該盗品を既に引き渡してしまったときでも購入代金を支払うよう被害者に請求できるとされています。
したがって,被害者のもとに花瓶が戻っている本件においても,Aさんは,被害者に対して,花瓶の購入代金である90万円を支払うよう請求できることになりますので,弁護士に依頼して被害者と交渉するとよいでしょう。
<文責 弁護士 吉田圭孝>
Aさんは,陶芸品店である擦過の花瓶を見つけました。小さな物でしたが,90万円で購入することができました。
ところが,警察から連絡があり,その花瓶は一年ほど前に盗まれた物であることがわかりました。
警察では花瓶を被害者に返したので,被害者と話し合うように言ってきました。しかし,被害者と交渉したのですが,被害者は金を払ってくれません。
そこでAさんは花瓶を買った陶芸品店に行って,払った金を返してもらいたいと言ったのですが,やはり断られてしまいました。
盗品を買ってしまった場合,買った人がすべての被害を引き受けなければならないのでしょうか。
(回答内容)
本件においては,花瓶の真の権利者と購入者であるAさんのいずれを保護すべきかが問題となっています。この問題はいわゆる即時取得という制度の問題です。即時取得とは,他人の動産を有効な取引により取得した取得者において,前主がその動産について無権利者でないと誤信し(善意),かつ,そう信じるにつき過失がない(無過失)取得者の動産取引の安全を保護する制度です。Aさんとしては,前主である陶芸品店が本件花瓶を占有していたことを立証すれば,善意・無過失の要件はいずれも推定されることになりますので,即時取得制度が適用されます。
もっとも,盗難被害者にとってみれば,被害者の意思によらないでその占有を離れることになりますので自分に落ち度はないのですから,盗品被害者を保護する必要があります。そこで,即時取得の例外として,民法上,取得した動産が盗品である場合,被害者は,盗難の時から2年間は,当該目的物を返還するよう請求できるとの定めがあります。本件では,花瓶が盗まれたのは1年ほど前ですから,この規定により被害者が保護されることになりそうです。
とはいえ,陶芸品店という公の市場で購入したAさんにとってみればまさか盗品だと思わず購入したのでしょうから,このようなAさんの信頼を保護する必要があります。そこで,民法上,更なる例外として,公の市場(一般の店舗を意味します)で購入した場合には,被害者が購入代価を弁償しなければその物を回復することができないとの定めがあります。この規定の解釈として,判例上,取得者が,被害者に対して,当該盗品を既に引き渡してしまったときでも購入代金を支払うよう被害者に請求できるとされています。
したがって,被害者のもとに花瓶が戻っている本件においても,Aさんは,被害者に対して,花瓶の購入代金である90万円を支払うよう請求できることになりますので,弁護士に依頼して被害者と交渉するとよいでしょう。
<文責 弁護士 吉田圭孝>
